スペリアー・スパイダーマン33号の紹介です。エッジオブスパイダーマンのスペスパ編後編といったところです。
並行世界のスパイダーマンを狩るカーンという敵の存在を知ったスペリアー・スパイダーマン(ピーター・パーカーを乗っ取ったオットー・オクタビアス)は独自にスパイダーアーミーを組織して対抗しようとしますが……。
前段:スペリアースパイダーマン #32 【エッジオブスパイダーバース】 - Children & Weapon Smith
インヘリターのカーンはまたも異世界のスパイダーマンを追いつめていた。
場所はマンハッタンの操車場。
退路を塞ぎ背後から二双の槍で急所を貫く。
「ぐ、背中が……背中には……
相棒のソニックキャノンがあるんだぜ」
スパイダーマンの背中から飛び出した砲身が火を噴く。
「くっ、サイボーグか」
「そう、イケてる上に天才だろ」
「だがこの程度で……」
「そう、止められるとは思ってはいない。
だから次の手も準備してある」
サイボーグ・スパイダーマンがそういうと背後の空間が開き
スペリアー・スパイダーマン率いるスパイダーアーミーが飛び出してくる。
カーンを取り押さえるスパイダーマン達。
「数の力ということか」
「いや、頭脳の勝利だね」
スペリアー・スパイダーマンことオットー:ピーターが自信満々に答えます。
「あいつはやけに意識高いね」
「俺達は"スペリアー"スパイダーマンって呼んでるよ」
サイボーグの言葉にシックスアームが答える。
「もう充分だよ。早くとどめを刺しちゃおうよ」
そう言うスパイダーガールの言葉に
「殺すってこと?」
「ちょっと、僕たちスパイダーマンなんだよ?殺すってのは穏やかじゃないね」
「こいつは並行世界のスパイダーマンを何百人と殺してきたんだ。色々と聞き出さないと…」
しかしそんなことを言ってる間にカーンを押さえていたオットーのアームが
オーバーヒートしてしまいます。再び解放されるカーン。
「馬鹿な奴等め!この程度の攻撃で止められると思ったか!」
「大丈夫!こいつ弱ってるよ!」
しかしスパイダーアーミーの志気は下がりません。
「弱ってるだと?貴様らを狩り尽くすまで止まることは無いぞ」
ハルク張りの衝撃波で全員を吹き飛ばす。
「いいや、弱ってるね」
オットーがウェブスイングでカーンをガスタンクに吹き飛ばすと、アサシンの銃で爆発させる。
「なんでウェブシューターの代わりにそんなもの着いてるんだよ?」
「全身武器のお前に言われたくないよ」
爆炎の中から出てきたカーンは流石に弱って見える。
全員でとどめと行かん時だった。
背後から飛んできたナイフがシックスアームの両腕を貫き、
伸びてきた鞭がサイボーグを締め上げる。
振り返ると次元移動ポータルから現れた双子らしき男女が立っていた。
「ねえブリックス、我が家の兄弟が苦戦してるみたいね」
「そうだな、ボーラ。まあカーンのことだから仕方ないんじゃないか?」
「お前ら。サディスト兄姉が何しに来た!これは私の獲物だ」
ブリックスの鞭に左腕を破壊されるサイボーグ。
「想定外の状況だ!撤退するぞ」
スペリアー・スパイダーマンは早々に判断するとノワールが煙幕を張る。
「逃がすものか!キル数稼がせてもらうよ」
飛び出したボーラのナイフが飛んでくる。
しかし素早くそれをキャッチしたモンキーが投げ返すと、見事カーンとブリックスにカウンターヒットする。
「余計なことをするな!」
カーンと双子は内輪もめを始める。
その隙にスパイダーアーミー達は撤退する。
「待ってくれ。俺が逃げたらこの街は誰が守るんだ」
「大丈夫だ、奴らはスパイダーマンにしか興味がない。
君が去ることで帰ってこの世界は安全になるんだ」
そう言ってポータルの中へと退避していくのであった。
2099年に退避し、サイボーグの腕を修復するスペリアー・スパイダーマン。
「2099年だって?通りで良い腕パーツが有るわけだ」
「この時代は俺の時代って訳じゃない。
元の時代に帰ろうとしてるだけだ。
ただ、あのカーンとかいう奴とその家族は放っておけない。
どうやって俺達の存在を探っているのか突き止めないと、やられる一方だ」
「僕の友達のゴリラ紹介しようか?体重800ポンドだよ」
「あいつ等はどれだけの数いるんだ?目的は?どう対抗する?」
モンキーやインディアが矢継ぎ早に続けてきます。
「黙ってくれないか、今それらを考えてるんだ。
俺はちょっと外す。連中が攻めてきたら呼んでくれ」
スペリアー・スパイダーマンはたまらず隠れ家から出て行きます。
ガントレットに仕込んだホログラムアシスタントが話しかける。
「ドクター、脈拍・血流ともに乱れてます。
少しお休みになられた方が」
「大丈夫だ、そんな余裕は無いしな。
この戦いが長引けば…本物のアナ・マリアが巻き込まれる可能性も高まる。
そんなことだけは避けなければ」
オットー:ピーターはそのホログラムのモデルである女性の名前を上げる。
「この戦いに勝利して、僕は君を……いや彼女を取り戻す。
心配してくれてありがとう、アナ」
「ご好意、感謝します。ドクター」
「その、二人だけの時は『オットー』と呼んでくれないか……」
「もちろんです、オットー」
隠れ家に戻ったスペリアー・スパイダーマンは仲間たちに指示を飛ばします。
「サイボーグ、君はその新しいアームから2099年のデータにアクセスして
『カーン』『ブリックス』『ボーラ』の名前を調べてくれ。
タートルネックとナマステパーカーは次元探査のチェックを頼む。
おサルとポリーメリアンは同じく時間流のチェックだ。ホログラムアシスタントが補助してくれる。
後のメンバーは残ってくれ」
皆が散った後、スペリアーは残されたアサシンとスパイダーガールに話を持ちかける。
「さて本題だ。俺はこの戦いに何としても勝利せねばと考えている。
最終的に敵の一族を皆殺しにするようなことになってもだ」
オットーはこの話をするために非情な二人を残したのだった。
「そのような状況になった場合、大抵のスパイダーマン達は止めようとするだろう。君たちは別だがね。
その時君たちには俺の側に付いてほしいんだ」
オットーらしい念の入れようである。
その言葉にスパイダーガールが答える。
「私達は生き残るためなら何だってやるよ。
ほかの連中がなんと言おうとね」
ここに真のスパイダーアーミー軍団が結成されたのである。
以上、エッジオブスパイダーバースのスペリアー編でした。
この話で表されたようにスパイダーバース本編ではスパイダーマン軍団と一線違う立場を構えて行動するスペリアー・スパイダーマンが物語を面白くしていきます。
それにしてもオットー: ピーターのアナ・マリーという女性への執着は相当の物です。スペリアー・スパイダーマン誌ではこの二者の関係が最も良くわかるのでしょうね。
以前Twitterでスパイダーバース→スペリアー・スパイダーマン→アメスパ700号以前と遡って読むのも良いという意見を見たことあるのですが、なるほど納得できる気がします。
【おまけ】
この号にはバックアップとしてカーンのオリジンを語るストーリーが収録されています。
遥か昔、ユニバース000では蜘蛛の神マスターウェーバーとインヘリター一族が激しく争っていた。さすがのインヘリターズでも人の運命を糸のように自在に操るマスターウェーバーには苦戦していた。
インヘリターズの兄弟の中では軽んじられていたカーンはこの戦いで功績を上げようとしていたが、逆に自分を唯一愛してくれていた母親を永遠に失うこととなる。
その後、兄弟の一人ジェニックスの罠でマスターウェーバーを捕らえることに成功したインヘリターズは、その力を利用して多次元を渡りあらゆる次元の蜘蛛達を狩り始めたのだった。その際にカーンは潜水帽のような仮面を付けられ前線に送られる。愛する母親を失ったカーンは非情の狩人として世界を渡っていくのであった。
このバックアップでの要点は2つ。蜘蛛の神の頂点とも言えるマスターウェーバーの存在と、家族内での確執を隠し持つカーンの内心です。この辺りはスパイダーバース本編に効いてくるところであります。
今回紹介したスぺスパも含むスパイダーバース情報まとめ