暗い森の中に一人立ちすくむウルヴァリン。
目の前にはダケンが沼に顔を突っ込んで息絶えています。
振り返ると眉間を撃ち抜かれた子供と腹を貫かれた男が立っている。
自ら手を掛けてしまった者たちに迫られ、叫び声をあげながらウルヴァリンは目覚めます。
夢の内容に不安を感じたウルヴァリンはワンダーマンと共にジーングレイ学園に連絡を取ります。
「おお、サイモンじゃないか。いつからこの回線はセレブ専用になったんだ」
モニターの向こうでX-MENのビーストが答えます。
「ハンク、エヴァン(ジェネシス、アポカリプスのクローン体の子供)とウォーレンはいるか」
「エヴァンは後ろに、ウォーレンはトレーニング中だ」
「二人をデンジャールームに保護してくれ、最大警戒だ
レイチェルにはテレパシーで周囲を哨戒するよう言ってくれ」
ウルヴァリンはアポカリプス・ツインズに備えるよう伝えます。
一方、アポカリプス・ツインズは計画を次の段階に移していた。
カーンに悟られぬよう密かに巨大宇宙船”アーク”を建造し、そこから発生させた
タキオン・ダムによってこの時代がタイムトラベラーから影響を受けないよう備えていた。
また、密かにアッカバ・ネビュラと呼ばれる星雲も配下に収め、着々とカーンを出し抜く準備を進めていた。
アークに乗り込んだ双子は母イチスミが待つ部屋へと向かう。
そこには4つの死体、4つのライフシード、4つのデスシードが用意されていた。
「母上、選ばれし者達の準備はよろしいか」
「ええ。しかし、このような少数の配下で大丈夫なのかしら。
いずれセレスティアルズとぶつかるやも知れぬ。母はあなた達が心配よ」
「母上の仰るとおり。ですからこそヨルンボルンも備えてございます」
エイミンが母を宥めます。
「ガーデナーが新たなる星を生み出すときに用いるこのライフシード、
そしてアポカリプスの使徒に力を与えるデスシード」
「これらをもって最強のダークライダーズを生み出してご覧に入れます」
従者が4つの死体にライフシードを突き立てると、包帯に包まれた身体が蠢きだす。
そこへエイミンがデスシードを掲げ、力を与える。
アポカリプス・ツインズの新たなる四騎士が生まれようとしていた。
スーダンの地下で謎のメッセージを再生したキャプテン・アメリカ。
浮かび上がった映像はカーンの別の未来の人格、イモータスだった。
イモータスはアポカリプス・ツインズの最終目的が地球の破壊であることを告げる。
そのためにこの先の未来すべてが地球の破壊という結果に収束するように画策しており、
またカーンやイモータスのような時間旅行者からの守りを固めていることにも触れ、キャップにタキオン・ダムの破壊を依頼するのであった。
基地に戻ったキャップにはもう一つ驚くべき報告が待っていた。
ソーからの報告を受けたキャップは訓練中のメンバーを集める。
「どうしたよ、そんなに俺を睨み付けて」
「ソーから聞いた話だが、できれば否定してもらいたい内容だ。
正直に話してほしい、仲間であるウォーレン・ワージントンを殺したのは本当か?
アポカリプスの元に居た子供を殺したというのは本当なのか!?」
キャップがらしからぬ興奮した態度で聞きます。
「…ああ、本当だ。俺がX-FORCEを率いてやったことだ。他に方法は無かった」
「子供を殺すほかに無いなんてことがあるのか!!
それがアベンジャーのする行いなのか!!
君はチームに加わる時に約束したはずだ、過去の考え方や行いは捨て去って…」
「ちょっと待ってよ、キャップ!
ローガンはあんたの事を蔑ろにしているわけじゃないんだよ」
「君の言いたいことはわかる、ローグ。
だがな、ローガンよ、あの双子がやろうとしていることは父を殺されたことに対する
アベンジャーズへの復讐行為ということになるんだぞ」
「信じられないわ、ローガン。そんなことを隠してたなんて」
ワスプも怒りを露わにします。
「待ってくれ、ジャネット。隠し事というなら私も同罪だ。
あの双子が発揮した力、あれは私の過ちがもたらしたものなのだ。
双子が持っていた斧、セレスティアルズをも傷つける斧は私が父の教えも聞かずに逸った故の産物なのだ。
過ちというならば私もウルヴァリンと同じなのだ」
「何言ってんの!こっちは子供殺しなのよ!!アベンジャーズに有るまじき事よ!!!
もうダメ、私にはもう彼をアベンジャーズとして、仲間として見られないわ」
ソーの言葉を押しのけてワスプがキレ続けます。それでもソーは続けます。
「私の知るローガンは高潔な男だ。
彼がそのような行動に出たということはそれなりの理由があるのだろう。
我々は戦士だ。戦士たるもの時として無垢なるものに拳を上げることあろうものだ」
「要はこんな奴がアベンジャーズにいるなんて馬鹿げてるって言いたいのね」
「人を殺すようなことをしてるのよ」
「ソーの言うこともわかるが、ジャネットの言い分が正しい。
ウルヴァリンをアベンジャーズに加えたのは、考えが足りなかったかもしれん」
「スティーブ、あんたの言う通りかもしれないな。
俺は俺のやり方が間違っていたとは言い切れないからな。
すまなかったな、俺は行くぜ。だがあの双子だけはこれからも追っていくからな」
「私もヨルンボルンを取り戻さぬ限り、この議論を続けることはできんな」
「いこうぜ、ハボック」
ウルヴァリン、ソー、ローグ、サンファイアが出て行こうとします。
「おい待てよ!なぜ双子がこんな話を聞かせた!?
我々を分断させようって腹に決まってるだろう!
皆で一緒にやっていこうって言ったじゃないか。
もう一度、ちゃんと話し合うべきじゃないのか」
ハボックの願いにウルヴァリンは振り返らずこう言います。
「話し合いの時間は終わったんだよ、”ボス”」
アークの奥深く、ウリエルとエイミンの前には新たなる四騎士が控えていた。
「見てください、母上。これがミュータントの新天地を守る「死の四騎士」です」
そこには異形の姿となったグリム・リーパー、バンシー、ダケン、セントリーが立っていた。
アポ側についに登場したフォー・ホースメン・オブ・デス。四人ともデスなところがポイント。それぞれアベンジャーズ・ユニティ・ディビジョンのメンバーに因縁があり、次回からこいつらが大暴れします。
対してアベンジャーズ側はついにチーム分裂。「アベンジャーズとミュータントの融合」という当初のお題目は早くも破綻してしまったように見えます。ハボックはリーダーだから残るものとして、ソーが着いて行ってしまったのが面白いですね。
うまく訳せなかったので本文では端折ってしまったんですが、訓練中のローグとスカーレット・ウィッチの口論が面白かったところ。他のメンバーが模擬ヴィランと戦闘中に延々口論という絵的にも可笑しかったところですが、興味深いのはやはりその内容。
「人」と「ミュータント」の差別は無くならないとするワンダは「人々は父(マグニートー)を見たらNYを壊滅させた張本人と思う」し「サイクロップスにしたって独善的に世界を変えようとした存在とみなされてる」として、「アポカリプス・ツインズにしたって、ミュータントを守るという題目を掲げながら、彼の臣下でもあるアッカバの住民を虐殺した」と主張する。それに対してローグは「そういったことの基準にミュータントだ人間だって区別を付けるのがどうだって聞いているんだよ」と反論し最後には「そんなだからNO MORE MUTANTをやらかすんだよ」とおなじみのところに触れてしまう。
ここら辺の下りを全部しっかりと読み込めるとライターの主張が汲み取れてより楽しく読めるのだろうなあ、とは思いながらも完訳はやっぱり難しいのでした。
【 登場キャラクター】
ハボック、キャプテン・アメリカ
ワスプ、ワンダーマン
ローグ、スカーレット・ウィッチ
ウルヴァリン、サンファイア、ソー
アポカリプス・ツインズ(ウリエル、エイミン)
デス(グリム・リーパー)
デス(バンシー)
デス(ダケン)
デス(セントリー)