Uncanny Avengers #23
戦いから数週間が経った。
久々にアベンジャーズ マンションに戻ったワスプとスカーレット・ウィッチを出迎えたのはウルヴァリンと、別の戦いにて体内の超人血清を失い老人となったスティーブ・ロジャースだった。
「おかえり、二人とも」
「ああ、スティーブ。その姿は…素敵よ…」
「冗談でも嬉しいよ、ワンダ」
「ずっとこのままなの?」
「今までだって爺さんだったんだ。これからも戦い続けるさ」
ウルヴァリンはワスプを出迎える。
「ローガン…」
「ジャネット、辛い所だとは思うがしっかりな」
中ではトニー・スタークやビジョン、ビーストらを迎えて、先の戦いの負傷者の治療を行っていた。
「オーケー、ゲームを始めよう。
まずローグ。イオンエネルギーの流れは掴めてるぞ」
「その通りだ。彼女は現在ミュータントパワーを正常に制御できている。
ワンダーマンのパワーは取り除かれてるはずだ」
トニーの言葉にビジョンが続けます。
「だが、バンシーのデスシードについては話が別だ。
コズミックエナジーが原子レベルで結合してしまってる」
「ナノテクノロジーでエネルギーを捉える事はできても…
分離するとなると数年かかるかもしれないぞ」
元チームメイトのビーストが心配そうに言います。
「アレックスの具合はどうなのだ?」
ソーの問いにビーストが顔を曇らせます。
「身体の方はもう良いのだが、セレスティアルズのエネルギーを受けた
皮膚の傷はどうにも回復させることが難しくてね」
「彼となら既に会ってるから大丈夫よ」
逆にビーストを気遣う言葉を口にしながらワスプ達が現れます。
バンシーを除く三人の治療カプセルが開き、起き上がる仲間達。
カプセルから出たハボックは、最愛の妻ワスプと再会の抱擁を果たすのであった。
次いで出てきたのはサンファイアでした。
彼はコズミックエナジーと一体化し、肉体を失ってしまったため新たなコスチュームにて人の形を留めることとなりました。
「世界の救世主となった気分はどうだ、志郎?」
「…何も感じない。俺は身体を失ったからな」
言葉少なな語り口ではあるものの、新たな力を得てサンファイアは復活を果たしたのであった。
最後に出てきたのはローグでした。
「…あたしはどれくらい寝てたんだい?」
「そうね、数週間は経ってるわ」
スカーレット・ウィッチが手袋を外しながら近づきます。
「私の手を取って。そうしたら私の混沌の魔力で貴女に与えていたものを…
サイモンが帰ってくるわ」
しかし、二人の手が触れた瞬間、衝撃が走って弾き飛ばされます。
「うそ…。どう言うことなの?
あたしは自分でコントロールできてたはずよ…」
自身の能力に裏切られたように感じたのかローグが泣きそうな顔で訴えます。
「そんな!コントロールできてたはず!」
「落ち着け、落ち着くんだ!」
皆の制止も効かずローグがパニックに陥ります。
「うるさい!黙れ黙れ!あたしの頭の中から出ていけ!!」
マンションの壁を破って飛び去っていってしまいました。
頭の中で響くワンダーマンの声から逃げるように、街に飛び出したローグは暴れ続けます。
「神様、お願い、あたしを独りに戻して…」
そこにスカーレット・ウィッチが追いつきます。
「貴女の言うとおりよ、でも独りじゃ解決しない」
ローグがワンダに食ってかかります。
「あんたを信じてパワーを吸収したのに!」
「落ち着いて、今は能力の制御が狂ってるだけ。きっと元に戻せるわ」
「戻す方法がわかるっての!?
また誰にも触れられない!キスもできない!
そんな状態がまた何年も続くなんて耐えられると思うの!?」
そんなローグにワンダが落ち着いた声で言います。
「貴女だけが災難に遭ったように言わないで。
私だって最愛の男性を失ってるのよ…」
ローグは自分に閉じ込められてしまった彼のことに思い至り気を静めます。
「必ず貴女を治してみせる。
それまであなたの側から離れないわ、約束する」
ワンダの宣言に落ち着いたローグが答えます。
「ごめん、わかったよ。
でも覚えといて、あたしには触れないで。お願い」
アベンジャーズマンションではハボックとワスプが休息を取っていた。
「プラネットXでの数年間、夢のようだったよね」
「夢じゃない、現実だよ。カーンが奪っていっただけだ」
二人は消えていった娘ケイティに思いを馳せます。
「もちろん、その通りよアレックス。
ケイティの事は忘れない。あの子無しにこの先の人生なんか有り得ないわ…」
「その通り、そのような心配などする事無いぞ」
二人が振り返るとそこには時間の番人が立っていた。
「イモータス!!」
「まあ、そう構えるな。私は友として礼をしに来ただけだ。
これまでカーンによって閉じられてきた時の可能性がようやくほぐれてきたようなのじゃ」
そう語るイモータスの表情もどこか穏やかであった。
「それは喜ばしいことだけど…」
やや飛躍した話に微妙な反応のワスプにイモータスが続けます。
「そうだな、これは時の管理者としての話だったな。
重要なのはこっちじゃ、お前達の娘、あの子は帰ってくるぞ。
同じ肉体、同じ魂をもって二人の愛の結晶として生まれてくるぞ」
イモータスがらしからぬ言葉を続けます。
「二人の愛だけがあの子を取り戻す手立てなのじゃ。
儂には見えるぞ、三人が仲むつまじく過ごす未来が」
ワスプが感動に涙ぐみます。
「だが、同時に暗闇と恐怖も現れる。
赤い影が疫病のように世界を覆い尽くし恐慌をもたらすだろう」
アポカリプス・ツインズも言っていたレッドスカルの台頭です。
「お前達はレッドスカルを見つけ出し、奴の計画を阻まねばならん。
奴はすでに動き出している、慈悲も救いもない未来を作り出すために」
そう、レッドスカルは動き出していた。
配下のS-MENとエイハブを連れてジェノーシャで刻々と準備を進めていたのだ。
「カーンが何故お前を置いていったのかわかるか、エイハブ?
X-MENとアベンジャーズに復習を果たすか見守らせるためだろう。
我々の望む未来の実現の為に、準備を始めるのは早すぎると思うだろう、なあ?
だが、備えは早すぎて困ることはないのだよ」
扉を開けたレッドスカルの眼下に広がるのは、ミュータントにとっての絶望の未来、恐怖の収容所が広がっていた。
アポカリプス・ツインズとの戦いのエピローグ、そして次なるレッドスカルとの戦いの幕開け編でした。
ここから単発エピソード二話を挟んで2014年を締めくくるイベント「AVENGERS & X-MEN AXIS」に繋がって行きます。
この後にも繋がっていくエピソード、ローグとスカーレット・ウィッチの友情、ハボックとワスプの仲が語られる中、キャップの老化など周りのストーリーとの整合性を取っているこの号は、実質的には第一期アンキャニーアベンジャーズの最終回的なお話とも言えるかと思います。
【 登場キャラクター】
ハボック、ワスプ、ソー
スティーブ・ロジャース
ローグ、サンファイア
ウルヴァリン、イモータス
レッドスカル、エイハブ
Uncanny Avengers Volume 4: Avenge the Earth (Marvel Now)
- 作者: Rick Remender,Daniel Acuna
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