アメイジングスパイダーマン #9 (スパイダーバース 第1話)
2014~15年にかけて展開していたスパイダーマン関連誌クロスオーバー「スパイダーバース」の紹介です。並行世界を股にかけてスパイダーマンを狩るインヘリターに、ピーター達は対抗できるでしょうか。
前段はこちら
寝ているところをJJJの電話でたたき起こされたピーター。
アームストロング公園に現れたヴィランの写真を撮って来いと言われ、
スパイダーマンのコスチュームで出かけます。
公園にいたのは黒衣の男。
「なんだこのスパイダーセンスの反応は!こんな強いのは初めてだ
お前は何者だ!」
男はスパイダーマンを片手でひねると答えます。
「どの時代、どの地球でも同じ質問だな、ピーター。
我が名はモーラン」
「地球だって…?今僕らがいるところは…」
ピーターが言い終わらないうちに首を折られ精気を吸い取られてしまいます。
頭上に浮かぶのは遥か遠くの地球。
ここは月面に人類が住むようになった世界、Earth-449だった。
Earth-001:ルームワールド。吸精鬼インヘリターの一族の拠点である。
インヘリター達は並行世界を繋げる蜘蛛の糸(グレートウェブ)を操るマスターウェーバーを支配下に置き、その糸により様々な世界のスパイダーマンを狩り立てていた。
その蜘蛛糸の前に居るのはインヘリターの長兄デイモスと妹のヴァーナ。
「最近グレートウェブが騒々しいわね、モーランが頻繁に行き来してるからかしら」
「モーランか。あいつは好き勝手やりすぎる」
「お父様のお気に入りだからね」
「ふん、気に入らん」
そんな会話をしている中、Earth-449から帰還するモーラン。
代わりにヴァーナが狩りに出かける。
「ヴァーナと何を話してたんだ、デイモス」
「何でもない。それよりもモーランよ、"あの世界"を避けているようだが?」
「取っておいているのだよ。最後の楽しみにな」
そう言うとその場を去るモーラン。
「人の楽しみを取るなよ、デイモス」
だがデイモスはその意に反してマスターウェーバーに告げます。
「ウェーバー、616への扉を開け。あの世界の何が特別なのか私が見に行ってやる」
Earth-616。我らがピーター・パーカーはシルク(シンディ・ムーン)の手荒いモーニングコールを受けて飛び起きていた。
外へ出るとマンハッタンは早速の大騒ぎ、強盗団がスペリアー・スパイダーマンの研究所からスパイダータンクを盗み出して強盗を働いていたのだ。
早速シルクと二人でタンクを制圧するスパイダーマン。
ふと見るとビルの上にはスパイダーウーマン(ジェシカ・ドリュー)とスパイダーガール(アーニャ・コラソン)が。
すると頭上からはスパイダーマン2099(ミゲル・オハラ)が跳んでくる。
逃げた強盗を追うと、今度は見たことの無いユニオンジャックのスパイダーマン(スパイダーUK)が現れる。
そしてUKと一緒に居たMC2世界のスパイダーガール(メイデイ・パーカー)とスパイダーハムが強盗をK.O.していた。
思いがけないスパイダーマンの集合に面食らうピーター。
異世界のスパイダーマンながらピーターと面識のあるメイデイが説明します。
「ピーター、私達スパイダーマン全員が危機的な状況にあるの。
敵の名前はインヘリター。あなたの力が必要なのよ」
「メイデイ!?なんで僕が?」
「君はモーランと戦ったことがあるからね」
UKが説明を引き継ぎます。
「モーラン!?ヤツが来てるっての?」
「いや、今来ているのはヤツの長兄デイモスだ」
「兄!?モーランに兄弟がいるっての!?」
まだまだ聞きたいことの有りそうなピーターであったが、
まずはUKの開いたポータルを通って他のスパイダーマン達と合流することにするのであった。
一方、ワンダゴア山にあるニューウォーリアーズの基地では敵の襲撃によりチームが全滅状態にあった。
倒れるスカーレットスパイダー(カイン)を足蹴にしているのは、インヘリターのデイモス。
「くっ、こいつらは俺が守ってやらなきゃならんのに…」
「心配するな、用があるのはお前だけだ。こいつらはまだ生かしてある。
だがこの後も生き続けられるかはお前の態度次第だ」
デイモスは余裕の表情を浮かべる。
「俺は、どうすれば……」
「簡単なことよ、私の食事となれば良い。貴様の命を差し出してな」
「メシが食いたいのか……。ならこれでも食らいな!!」
カインは腕のスパイクでデイモスを串刺しにします。
しかしそれも意に介さず笑うデイモス。
「なるほど、痛みを感じるぞ。確かなようだな、貴様が異端(The Other)であることは」
なにかに満足したデイモスはカインに噛り付きます。
しかしその頭上にポータルが開いて助けが現れる。
飛び出してきたのはオールドマン・スパイダー、バレットポイント・スパイダーマン、そしてスパイダー・グウェンだった。
「グウェン!?嘘だ、またジャッカルのまやかしか!?クローンか!?」
混乱するカインを宥めるようにもう一人のスパイダーマンが説明します。
「彼女はクローンじゃない、俺のように異世界の存在なんだよ、兄弟」
そう説明したのはEarth-94から来たスカーレットスパイダー(ベン・ライリー)だった。
「ベン!?なんで!?」
「説明は後だ。逃げるぞ」
バレットポイントがデイモスに捕まるもなんとかポータルを通って逃げおおせるスパイダーマン達。
目指す先は合流地点であるセーフゾーン、Earth-13だった。
Earth-13世界のスパイダーマンは、宇宙の力エニグマフォースを得たキャプテンユニバース・スパイダーマンが存在する世界だった。
流石のインヘリターもエニグマフォースの力にはおいそれと手を出せず、現状ここがセーフゾーンとなっている状態だった。
そんな最強ともいえるCUスパイダーマンだったが、彼は616のピーターこそがこの戦いの鍵を握る存在だと言う。
それは並行世界の守護者キャプテンブリテン・コァに所属するスパイダーUKも同様であり、
ピーターこそがスパイダーマン達の最終兵器だと言うのであった。
場面は変わる。
「ときどき思うんだ、僕は最低のスパイダーマンなんじゃないかって」
Earth-1610、母の墓の前でスパイダーマン(マイルス・モラレス)は一人つぶやいていた。
「そんな泣き言は聞きたくないんじゃなくて?少なくとも私は聞きたくないわ」
母を救えなかったことを悔やむ彼の元に、
この世界のもう一人のスパイダーマン、ジェシカ・ドリューが現れる。
「私達スパイダースは共にやっていくしかないんじゃない?」
スパイディスーツを着るものとしての心構えを語る二人だったが、
ふいにその頭上に黄色いポータルが開く。
「確かにそうかもしれないが、今は二手に分かれたほうが良いのではないか?」
「え?」
振り返るとポータルから現れたヴァーナが三匹の猟犬をけしかけて来るところだった。
「狩りは突然に始まるぞ。さあ走るが良い!捕まりたくなければな」
我らがピーター・パーカーを巻き込んでいよいよ始まったスパイダーバース。実は前段である「エッジオブスパイダーバース」では語られず、アメイジングスパイダーマンの8号以前で語られた要素として『シルクはモーランに付け狙われており、それを匿うため長らく幽閉されていた』という設定があります。 彼女はこの後、本ストーリーにおける重要な役割が与えられることになります。
その他のスパイダーマンも同様です。次回以降も様々なスパイダーマンを紹介していければと思います。
スパイダーバース単行本情報。全体のあらすじも紹介してます。