スパイダーバースイベント前章「Edge of Spider-Man」の第三話スパイダーアーマー編を紹介します。
三つめのお話はハイテクアーマーを着こんだスパイディ。このお話の見どころはスパイダーマンのバリエーションやストーリーもそうなんですが、アーティストのダスティン・ウィーバーが脚本と作画を担当しており、彼独特の世界観を全面に押し出しているというところです。
前段:エッジオブスパイダーバース #2 スパイダー・グウェン編 - Children & Weapon Smith
アーロン・エイクマン、27歳。
世界に名を馳せるイケガミ医療センターの研究者でもトップを張る若き天才である。
昆虫を研究する彼は蜘蛛のDNAを抽出し、自分の体内に取り込む実験に成功。
それにより得た超人的な肉体と、自身で作成した補助アーマーを纏い
街を駆けるヒーローとなった。ザ・スパイダーマンの誕生である。
彼は街の犯罪者だけでなく、様々な超人的なヴィランとも戦うことになる。
元宇宙飛行士が変貌した一つ目の怪人「レッドアイ」、
半身サイボーグの謎の敵「ナームラー」達である。
正体を隠しつつもエイクマンは、科学者として戦った相手を研究し、
アーマーにフィードバックすることで更なる戦いに備えていった。
エイクマンには恋人が居た。
イケガミ医療センターのトップ、カオリ・イケガミ博士だ。
彼女には娘が居た。名前をハンナという。
だがハンナは事故により脳の障害を負い、意識を無くしたままになっていた。
アーロンはそんな辛い状況のカオリを傍で支え続けていた。
しかしある日を境にカオリはハンナの話を急にしなくなり、
それと同時にアーロンからも離れて行ってしまった。
そしてある晩のこと、アーロンの元に急にカオリが訪ねてくる。
「カオリ……」
「アーロン、お願い。私をどこか知らない場所に連れて行って。
お願い、あなたの助けが必要なの」
しかし、そんなカオリの気まぐれとも思える翻心と突飛な行動に
ついアーロンはハンナの名前を出してしまう。
「娘さんは、ハンナは死んだんじゃないのか?」
その言葉を聴いたカオリはアーロンの元を走り去る。
自分でもまずいことを言ったと一瞬後悔するアーロンだったが、
気を取り直しスパイダーマンとしての活動に集中するのだった。
街では以前のナームラーの行動パターンと酷似した誘拐事件が頻発していた。
夜のパトロールを強化していたアーロンはついに誘拐現場に遭遇する。
そこに居たのは何処からか帰ってきたナームラーであった。
被害者の女性を救出してナームラーを追うアーロン。
ビルの隙間の路地に飛び降りた瞬間、ヘルメットのリアモニターが警告を告げる。
「リアビューモニタ、後ろか!」
「キサマがこの世界で最強の存在か?キサマに我々の侵攻が止められるか?」
もみ合いながら落ちていく二人。しかし、以前の戦いから強化した
ウェブストリングはナームラーの身体を拘束し捕えることに成功する。
ナームラーの顔をみてアーロンは驚愕する。
その顔はナームラーでは無く、以前彼に誘拐された被害者だったからだ。
イケガミ治療センターに入れられたこの男は意識を取り戻すことは無かった。
だが、その体内から出てきた機械を見て驚愕する。
それはかつてアーロンが携わった神経補助装置であり、
彼からカオリに提供されたものだったからだ。
全てを悟ったアーロンはスパイダーマンとなりカオリの前に現れる。
カオリは娘を救うためにアーロンの神経装置と補助アーマーの技術で
娘を蘇らせようとした。しかしそれは失敗に終わりハンナは何かに操られるように
誘拐を行い次々と仲間を増やしていったというのだ。
そして街にあふれだすナームラーと同様の半身サイボーグ達。
それを聞いたスパイダーマンは街に駆けだす。
出口に差し掛かる時、ナームラーが最後に発した言葉が脳内に蘇る。
「キサマにこの世界が救えるかな……」
スパイダーマンが扉から表に出んとするその時、前に立ちはだかる男が現れる。
インヘリターズのモーランである。
「何者だ!?」
「物語に終止符を打つ者」
そして街を跋扈する半身サイボーグのアップで物語は締めくくられる……。
エッジオブシリーズ第三話はこれまでと少し毛色の違うお話。
バッドエンド的に締められるお話はこの後のアーロンの敗北を現しているかのようです。そもそもスパイダーバース本編に、このザ・スパイダーマンは見かけなかったわけでして。
やはり面白いのはライターとアーティストを兼ねた作風。独特なコマ割りや表現で目を引くところが多いです。反面やたらとモノローグで話を進めるところや、「インヘリターズの尖兵ナームラー」、「仲間を増やして人間を襲い始める」というこれまでのインヘリターズの設定とはちょっとマッチしない点など気になるところも。
気になる点もありつつも、日本のアニメにも造詣が深いというダスティン・ウィーバーらしく『こんなバイク』も置かれているコマなど、楽しいところではあります。
今回のストーリー掲載の単行本はこちら。
Amazing Spider-Man: Edge of Spider-Verse
- 作者: Marvel Comics
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2015/05/12
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