タイムウォーカー Film3
「プロメテアンは俺達の細胞から自然発生する放射性物質を探知しタイムトラベラーを追跡できる」
「だから俺たちは何度もタイムアークを通り抜け、奴らを撒く必要がある!」
アイヴァーはニーラの手を引きながら説明する。
ワームホールを抜けて二人が辿り着いたのは、4001年ニュージャパンのバー。
テーブルについて一息ついた二人だが、疑問だらけのニーラはアイヴァーに質問を畳みかける。
ニーラが一番知りたいことはなぜ自分が逃げ続けなくてはいけないのかという事。
アイヴァーに時間旅行に引っ張りまわされることで、自分のタイムトラベルの研究はおじゃんになったはず。
それでもなぜアイヴァーは自分の手を引いて、金ぴかのプロメテアンから逃げ続けているのか?
アイヴァーは答える。
「残念だが、事はそう単純じゃない。
発明は止められたが研究内容はまだ君の頭の中にある。
その知識をプロメテアン…正確には奴らのマスターが欲してるんだ」
アイヴァーが言う事には、これから数兆年後、人類滅亡後にも最悪の種「プロメテアン」は生き残り続け、さらには過去に遡り自分たちに都合の良い歴史を創ろうとしている。
そのためにニーラの頭の中にある研究内容を求めているというのだ。
とても理解できない話を聞かされ、ニーラは絶望する。
「あなたのせいで今…私の心と頭は恐怖でいっぱいよ…
私は一体何をしようとしていたの…」
「君のせいじゃないさ、あまり自分を責めるな。
アニシュも君を誇らしく思ってるはずだ。
君が成したすべての事を…」
ふとアイヴァーが口に出した名前にニーラは驚く。
「えっ…?なんでパパの名前しってるの?」
「あっ…」
ふと出てきた父の名前に驚いたニーラは席を立ち、店を出ていこうとする。
しかし、店の外に居たのは…もう一人のアイヴァー。
「同じ時間軸に2人同時に存在なんて…」
「それがおかしなことか?初めまして、俺はアイヴァー・アニパダだ」
店からニーラを追ってきたアイヴァーはもう一人の自分自身と挨拶する。
「よう」「元気そうだな」
そう言って後から出てきたアイヴァーは退場する。
「タイムトラベル中に自分自身と会っちゃ…マズいんじゃない?」
「それは映画の見過ぎだな」
アイヴァーはニーラの肩を掴んで改めて懇願する。
「俺は昔…大きな過ちを犯した。家族に故郷…俺の大切なもの…全てを失った」
「だが君の助けがあればすべてをやり直せるんだ!」
「これは俺が君を助けるんじゃない。君の力で俺も救われるんだ!」
そう言って迫るアイヴァーに同情の表情を見せるニーラだったが、同時に彼が彼女になにか隠し事をしていることも感じるのだった。
遥か未来、プロメテアンの本拠と思しき基地「オブリビオン」
そこでは金色のロボット達がアイヴァーの行動記録を見返していた。
そんな中でプロメテアン達を指揮している存在が一人。
「我らはニーラを助け出す必要がある。あのエターナルウォーカーからな。
ニーラがウォーカーに影響される前に…、ニーラの運命が変化する前に…」
そう述べるプロメテアンの指揮官は半分ロボット、半分人間の顔をしていた。
「…若かりし日の私が敵へと変わる前に…」
そう述べる人間の顔はニーラのそれそのものだった。
相変わらずの怒涛の展開で進む第三話。
今回は何といってもそのオチ、ニーラを追うプロメテアンを指揮するのが、ニーラ自身という驚きの展開。
そしてアイヴァーとニーラの父アニシュの関係は?
遥か時間を駆け巡る逃走劇はどのように展開するのでしょうか。
【おまけ】
今回面白かったのはやはり二人のアイヴァーがしれっと会うところ。
バックトゥザフューチャーでドクも同じ存在が同一時間軸で出会うといけないって言ってませんでしたっけ?