Children & Weapon Smith

MarvelComics(主にX-MEN)の紹介をしているブログ

フューチャーインパーフェクト #5【バトルワールドレビュー】

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シークレットウォーズ関連誌「フューチャーインパーフェクト」の最終話紹介です。遂にデストロイヤーの元へ辿り着いたマエストロ達。それを守るエンシエント・ワンの正体とは?

第4話紹介はこちら。

koto-bukiya.hatenablog.com

 

 

「おじいちゃん!?」

「おお、ジャニスか。久しぶりじゃの」

洞窟の奥に待ちかまえていた老人が応える。

「リック・ジョーンズ……貴様がエンシエント・ワンだというのか?」

「その名前じゃ不服か?

なら"リック・ザ・ガーディアン"でも良いぞ」

デストロイヤーを守る存在、それはかつてハルクの相棒として

知られたリック・ジョーンズその人だった。

「どういうことだ?儂をたばかっているのか?」

「相変わらず理屈っぽいのう、ブルース。

デストロイヤーが見たいのだろう?どれ、付いて来るが良い」

車椅子の老人にいざなわれ、洞窟のさらに奥に進む一行。

 

「おじいちゃん、本当にこいつにデストロイヤーを渡すつもりなの?

いやそれ以前にここで何してるの?私てっきり死んじゃったのとばかり……」

「ジャニス」

「え?」

「儂は百歳を超えた爺じゃ。

そんな小声でぶつぶつ言われてもわからんよ。

ほれ、そこに見えてきた」

リックが指を指す。

「なにかまやかしでもあるのか?

それとも強烈な試練でも待ち構えてるのか?」

「まやかしも試練もありゃせんよ。ほれ取りに行くが良い」

マエストロの念押しもどこ吹く風、リックは先を促します。

 

リックの指す先には漆黒の鎧が力強く立っていた。

人の形を模した最強の武器、それこそがデストロイヤーだった。

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「何故だ!なぜこんなに単純に差し出す?そんなわけ無かろうが」

「単純?単純などではないぞ、ブルース。

ここはドゥームの力の中心、すぐに王も現れるぞ。

ここでゴチャゴチャやっていればドゥーム神に消されるだけよ」

「ジョーンズよ、もし罠だとしたら儂は貴様を許さんぞ。

必ず戻って貴様をくびり殺してくれるわ」

「は?何か言ったか?聞こえんわい」

恫喝の言葉も流されたマエストロは、

意を決して一跳びし、デストロイヤーの眼前にまみえる。

 

「さあ着いたぞ、どうすればこれが手に入る?」

「どうもこうもない、ただ望みを念じれば良いぞ、ブルース」

「ブルースと呼ぶな!儂はマエストロ!暴君マエストロだ!」

そう叫ぶマエストロの目の前でデストロイヤーが光を放ち始める。

 

対岸から光に包まれてゆくマエストロを見守る一行。

だがそこに意外な人物が現れる。

「これはどういうことだ?

誰が我が領域を侵す

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なんと神聖皇帝ドゥーム自らが現れたのだ。

「貴様等はディストピアからきたな?

答えよ、そこのオレンジ色」

「左様です、神聖皇帝」

シング達は跪いて答える。

 

光に包まれるマエストロをみてドゥームが警告します。

「マエストロよ!貴様の企みはわかっておる。

今すぐそこを離れ、我が前に参じよ!」

「……参じるのは貴様の方だ、ドゥーム!

我こそが絶対無二だ!」

光が収束するとそこにはデストロイヤーを纏ったマエストロが立っていた。

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「警告はしたぞ、マエストロ」

「警告だと!その大仰なもの言い、すぐに出来なくしてやろう」

ほとばしる稲光が道となり、ドゥームの元へ堂々と歩みゆくマエストロ。

二人の衝突を前にジャニス達は老リックを連れて安全な場所へ避難する。

 

「よかろう、神に背いた報いを受けるが良い!」

ドゥームの掌からブラストがほとばしる。

しかし鎧を纏ったマエストロは身じろぎ一つせずドゥームの眼前まで歩み寄る。

そして渾身の力で殴り飛ばす。

「神に手を上げるとは……」

「思い通りにいかない事が意外か?ドゥームよ。

ここだ!ここを全身全霊で打ってこい!!」

自らのこめかみを指差しながら頭を突き出す。

ドゴォオオオ!!

ドゥームのパンチに洞窟全体が揺れますがマエストロはびくともしません。

 

劣勢を感じたのかドゥームは、今度は目から迸るブラストを打ちつけます。

しかしマエストロは止まりません。

「ハッ!この程度じゃ肩こりも取れんぞ」

「ば、馬鹿な。信じられん」

焦るドゥームに今度はマエストロが攻撃します。

デストロイヤーの顔のプレートが下がり、

そこから灼熱の波動がドゥームを襲います。

バリアで耐えようとするドゥームでしたが、徐々に膝を突きよろけていきます。

「マエストロよ、よく聞け。貴様のその力と我の力、

二つを合わせれば適わぬ望みなど無くなるのだぞ」

「望みだと?安っぽいことを言うな。儂の望みはただ一つ、支配する事のみよ!

それ以上の望みがあるか!!」

更に強さを増したデストロイヤーの波動はバリアを突き破る。

さしものドゥーム神も直撃には耐えきれない。その身体は爆発四散するのだった。

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「やった!やったぞ!!

我こそは新たなる支配者!

我こそは新たなる神!!

バトルワールドよ!我が前に跪くが良い!!」

 

「おじいちゃん、あいつどうしたの?」

「勝利したのだろう」

「どういうこと?」

リック達が見守る中、マエストロはデストロイヤーの前に立ち尽くしたまま

急に歓喜の声を上げ始めたのだ。

「ワシは奴に『望みは適うだろう』と言った。あれは事実だ。

奴の頭の中ではドゥーム神に勝利し、全てを手に入れたのだろう」

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「ワハハハ!案ずるな民よ!新たなる神に任せるが良い!」

独り歓喜の声を上げながらブルース・バナーに戻るマエストロ。

 

「さあ戻ろうか、ジャニス」

「一緒に来てくれるの?おじいちゃん」

「いや、ワシはまだこの場を見守らねばならん」

バナーを置いて踵を返す一行。

「バーカ、一生そうしてな」

ジャニスはそう言い残して、その場を去るのであった。

 

「ハハハハハ!我こそは王の中の王マエストロ!

見るが良い!我が王国を!我がディストピアを!!」

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デストロイヤーを目の前に結局はドゥームの掌で踊っていただけのマエストロ。寓話的な結末で物語は終結しました。序盤から「打倒ドゥーム」を謳っており、バトルワールド全体に影響する物語になるかと期待したところも有りましたが、意外にもこじんまりと集束したお話になりました。シークレットウォーズ後に、マエストロがマーベルヒーローを集めて戦わせる「コンテスト オブ チャンピオンズ」という連載が予告されていたことから、バトルワールドの枠を破る何かをしてくれるのかとも思っていたのですが……。

まあ、それでも期間限定の短編と考えるとちゃんと終結したお話で良かったと思います。何度も感想を書いていますが、グレッグ・ランドの描く大迫力のバトルは見ごたえがあり、それだけの為に読んでも良いと思わせるだけのパワーがありました。

 

単行本は2016年1月発売予定。

Future Imperfect: Warzones! (Secret Wars: Warzones!: Future Imperfect)

Future Imperfect: Warzones! (Secret Wars: Warzones!: Future Imperfect)

 

 

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