「Edge of Spider-Verse」第五話の紹介です。ミニシリーズとしてのエッジオブスパイダーバースはこれでおしまいですが、スパイダーバース前章としてのエッジオブ~イベントはもうちょっとだけ続きます。このややこしさがアメコミの醍醐味ですね。
今回はスパイダーバース公開当時も話題になりましたSP//dr登場編です。あんな人やこんな人も出てきます。
前段:エッジオブスパイダーバース #4 怪奇!蜘蛛男編 - Children & Weapon Smith
Earth-TRN451。とある組織で開発された蜘蛛と人間のハイブリットアーマー「SP//dr」の稼働試験が行われていた。
しかし試験は失敗。アーマーもろとも操縦士の男性は高高度で爆発してしまった。
だが男性には一人の娘が居た。
彼女の名前はペニー・パーカー。
まだ9歳の少女である。
「ペニー…私はあなたの叔母にあたるメイというの。こっちはベン」
「君のお父さんはとても優秀な方で、我々にとっても……」
「知ってるよ。お父さんはSP//drだったんでしょ。そして死んじゃった」
とりつくろうような二人の言葉をさえぎって少女は言う。
「…ペニー、とても辛いところだとは思うけれど良く聞いて。
あなたにはお父さんの意志を継いで欲しいの。
唯一の適合者であるあなたに」
大人のエゴを意にも介さずペニーは答える。
「嫌って言っても無駄なんでしょ?それよりSP//drは私を受け入れてくれるのかな…?」
一見、冷静に見える彼女だったが、その眼の中には一匹の蜘蛛の幻影が映っていた。
5年後。
街に現れた大怪球はガスをまき散らしながら人々を苦しめていた。
「混乱こそ我が作品!愚民どもよ死を受け入れよ!!」
その様子をビルの上から見つめる巨体があった。
「ペニー、準備はいい?
奴の名前はミステリオ、神経性のガスを散布しながら移動してるわ」
赤い巨躯はかつてペニーの父を奪ったSP//drだ。
「ガスって、フィルターは大丈夫なの」
「装甲が守ってくれるわ。でもインジケーターには注意していてね」
ペニーはSP//drを受け入れ、操り、自分のものにしていた。
手首からスリングを飛ばして街に降りていくSP//dr。
「それはそうと今晩の夕食はチキン・チッカでどう?」
「メイおばさん、あたしここのところ菜食主義なのよ」
SP//drが大怪球に接触する。
「そうだっけ、わかったわ。それじゃ作戦の後で」
大怪球に飛び込んだSP//drはミステリオに対峙する。
「お前はSP//dr!ここはお前のようなデカブツが入ってくる場所じゃない」
そういうと手首からガスを直接浴びせかける。
「SP//dr、フィルターの許容範囲をオーバーしています!」
「ペニー、そのガスから離れて!脳に作用する神経ガスよ!」
オペレーションルームがにわかにざわめき立つ。
ガスを浴びたペニーの目にはバケモノのような姿のミステリオと
蜘蛛のような姿になったSP//drが映っていた。
しかし蜘蛛の幻影には慣れているペニーはそのままミステリオを
一撃でK.Oすると大怪球を停止させるのだった。
ペニー・パーカーは普段は学校に通う普通の14歳である。
今日も数学の講義を聞きながら、つい目は窓の外に向かってしまう。
耳を通り抜ける講師の言葉。手を這う赤い蜘蛛。
「おい聞いてるのか?ペニー・パーカー!?」
気が付くと檀上には講師の横に男が立っていた。
街を守るビジランテ、デアデビルだ。
「彼が君に用があるということだ」
ミステリオから得た情報で、非合法な連中のガサ入れに行くことになった
デアデビルとペニー。
道すがらペニーは父の事を尋ねる。
「D…お父さんってどんな人だったの」
「そう、あの人は多くは語らない落ち着いた人だった。
だからと言って冷徹な人ではなかった、君が寂しく思うのと同じように
彼も寂しがってたのだとも思うよ。そんな人間だったさ」
デアデビルもまた多くは語らないのであった。
「上だぁ」
死角から犯罪者の巣に降り立った二人は、
武器を持った十倍の人数にも引けを取らなかった。
たちまち20人以上のギャングを捕えたペニーだったが、
頭にあるのは先ほどの父の話だった。
「こういうのってお父さん嫌がらないかなあ」
「いいや、きっと喜ぶんじゃないかと思うぞ」
SP//drを回収班に預け、ペニーは地下鉄で家路に着く。
そんな車内が急にざわめきだし、乗客が後方に走っていく。
車両の前方を見ると……豚が居た。
まるでスパイダーマンのようなその豚はペニーに話しかける。
「驚かせちまったかもしれないなあ」
その後ろから壮年の雰囲気を持つ、こちらもスパイダーマンが現れる。
「ハム、お前が前に出ると騒ぎになるんだよ」
「連中が騒ぎすぎなんだよ。なあ、どうしたらもっと人気者になれると思う?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
わけのわからない連中の登場に混乱するペニー。
「私たちは追われているのだ、我々全員がな」
「我々?」
「そう、スパイダーガール、スパイダーボーイ、スパイダーピッグ、ドッグ、
何でもだ。追い詰められ、殺されてるってのよ。
お前さんもその内の1人ってことだ」
にわかに信じられない話、ではあるが信じるしかないペニーは
SP//drの元へ二人を案内し、アーマーを装着する。
「おお、こりゃ凄えな。ハードコアな世界だ」
「じきにゲートが開く…」
「ちょっと騒々しくなるぜ」
スパイダー・ハムが脅しをかける。
「ううん、大丈夫だから」
SP//drとスパイダー・ハム、スパイダーマンの三人はゲートに飛び込んでいく。
「いっちょやってやろうぜ!」
SP//drの登場から異世界スパイダーマンの登場まで描き切っているため、後半がやや駆け足気味なものの、SP//drの世界観が堪能できる一遍となっております。
やはりまず目を引くのがそのアート、というかSP//drのデザイン。エヴァンゲリオンをモチーフにしつつ、しっかりとスパイダーマンにしているところが素晴らしいですね。やや手長、猫背、巨躯、この要素でスパイダーマンのようにウェブスイングで駆ける姿はかなり新鮮に映ります。
【おまけ】
既に有名になっているペニーが学校で授業を受けているこのシーン。
あの4人が居ますね。
それよりも驚いたのがその前のページ。
天を衝くドリルの彼もクラスメートだったようです。
前の席の女の子は誰だろう?
容姿だけだとダーティー・ペアのケイに見えるのですが…。
ガイナックス系でこのようなキャラが居るのでしょうか。
【おまけ2】
「素子ぉ!!」
「デコスケがぁ!!」
エッジオブスパイダーバースの単行本はこちら
Amazing Spider-Man: Edge of Spider-Verse
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