ロングショット セーブ ザ マーベルユニバース #1
X-FACTOR探偵社の連載が終了した2013年秋、探偵社のメンバーがその後どういう活躍をしてくれるのかヤキモキしていた頃、唐突に始まったのがこのミニシリーズ。
幸運を得る能力とどこか天然入っている不思議なキャラクターが魅力のロングショット。そんな彼のミニシリーズ全四話を紹介したいと思います。
とあるタバコ屋。
常連の爺さまがスクラッチくじを買ういつもの風景だったが、今日は一つだけ違うことが起こる。
なんとスクラッチくじから出てきたのは1等のベル三つ。
驚く爺さまの横にどこからとも無く白黒の仮面をつけた男が現れ、声を掛ける。
「なんと、あなたは運の良い人だ」
仮面の男の目が怪しく光ると声を掛けられた爺さまは昏倒し、そのまま死亡してしまう。
「おっと失礼、人違いだったようだ」
ニューヨーク、とある美容院。
X-MANとして知られるロングショットは髪型を変え、イメージチェンジを図っていた。
背後のテレビからはスクラッチくじ当選男性死亡のニュースが流れている。
会計の際にクレジットカードを出すと、限度額を超えていて支払いができなくなっていた。
「あら、ツいてないね~。いいのよ、あなたみたいなハンサムはサービスしてあげる」
「いやあ申し訳ない……。僕のパワーでツいてないのもここまでになるはずなんだけどね」
「何言ってるの、あなたみたいなキュートな人は次もサービスしてあげるから」
ロングショットは苦笑いで店を後にするのだった。
マンハッタン島フェリー乗り場。
連絡線の出発寸前に駆け込んできた男性がギリギリで乗船に間に合う。
「間に合った!ツいてたぜ」
「他の乗客はちゃんと時間通りに乗船して待ってたのですがね。
幸運にも間に合ったあなたはどれだけ得したことになるのかな?」
いつの間にか背後に立っていた仮面の男の目が怪しく光る。
突然息絶える男性。
「ふむ、この人も違うようだ。
だが近づいている様だぞ。では失礼」
ロンクショットが公園通りを歩いているとタコスの屋台が。
「お、タコス屋」
しかし財布を見るも小銭は空っぽ。
「でも食べたいんだよなあ」
「おい、あんた左目がなんかなってるぞ」
ロンクショットの左目が光るときは幸運能力が発動するときです。
次の瞬間背後の建物二階が爆発し、空から紙幣が降ってきました。
その時、仮面の男は地下鉄に乗ろうとしていた。
「む、そこか?」
ただならぬ幸運の発現を感じ取った男は地下鉄の路線図を覗き込む。
「ここからだと……うむ、このルートか」
念願のタコス代が振ってきているものの、事件の様子を感じ取った
ロングショットは紙幣に目もくれず爆発現場に飛び込みます。
爆発した隣の部屋に飛び込んだロンクショット、そこには住人と思しき女性が一人。
「あなた、強盗の仲間?」
「ハイ。俺はロングショット、強盗でもなけりゃ殺人鬼でもないよ」
「ロングショット?あ、あなたX-MENね!」
「まあ今はX-FACTORだけどね」
「ねえねえ、あなたミュータント?ミュータントパワーは?」
「正確にはミュータントじゃ無いんだけどね。
俺は異世界からやってきたスーパーマンさ。幸運操作能力が売りのね
それはそうとお宅のお金を降らせちゃって申し訳ないね」
金庫を爆破したのは強盗たちだと不思議がる彼女に、ロングショットはそれも含めて自分の幸運がもたらしたのだと説明する。
ともあれヒーローとして現れたからには人助けとばかりに強盗のいる隣室に赴くロングショット。
のこのこと現れた男に銃を向ける強盗達だったが、ロングショットの左目が光ると全員の銃が暴発するのだった。
この家の家主であるDr.ディップソンから礼を言われるロングショット。
彼はこの家で娘と宇宙線の確率変動を研究している科学者だと言う。
そんなおりだった。
「そこの幸運なあなた」
仮面の男が現れロングショットを呼びます。
「お前は……ツイてる人間を殺してるという奴か」
「あなたの幸運は宇宙のバランスを崩壊させます」
そう言うと不思議な力でロングショットを拘束します。
仮面の男からコズミックエナジーを感じたDr.ディップソンは、ロングショットを助けるためにレーザー銃を発砲する。
が、仮面によけられたレーザーは不運にもたまたま近くを走っていたトニー・スタークのトレーラーに当たる。爆発するトレーラー。
そして幸運なことにその荷台の中身がロングショットの手の中に飛び込んでくる。
「これは……」
なんとそれはトニーとリードが研究していたコズミックキューブでした。
「それはあなたの手に余るものです。
あなたも命は惜しいでしょう?さあ、寄越しなさい」
しかしそんな言葉を無視しキューブを胸に押し当てるロングショット
「こうしたら……アンタはどうなるのかな」
「よしなさい!」
ロングショットの身体に取り込まれていくキューブ。
そして世界は光に包まれる……。
散髪を終えたロングショット。
配線業者を装った強盗を門前払いするDr.ディップソンの娘。
タコス屋台を見かけるロングショット。
空から紙幣が……降ってはこないで、何故かS.H.I.E.L.Dの部隊が降ってきます。
「あなたから魔法的超次元オーラが検知されました。
シールドは対超常現象としてあなたの処理に来ました」
シールドの制服を着た白い仮面の男が言い放ちます。
たじろぐロングショットが建物に触れた瞬間、サイコメトリー能力が発現します。
幸運能力、白黒仮面の男、コズミックキューブ、確かに起きたことだったのです。
銃を向けられたままのロングショットが呟きます。
「いま、俺の目は光ってないよね……」
キューブの力か現実が改編され別のバージョンになってしまった世界。コズミックキューブはどこへ行ってしまったのでしょうか。
そして白黒の仮面の男は次号で正体が明かされますが、マーベルユニバースでも相当高位な存在。そんな彼が地下鉄の路線図を見て「ふむ、このルートで行けばよい」なんて言ってる風景はなかなかのジョークだと思います。
Longshot Saves the Marvel Universe
- 作者: Christopher Hastings,Jacopo Camagni,Victor Calderon-Zurita
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2014/06/03
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