Uncanny Avengers Annual
先週最終25話まで紹介を終えたUncanny Avengersですが、もうひとつ紹介するお話がありました。それがこちら4月30日発売の年刊号「Uncanny Avengers Annual」です。
今回はこちらのストーリーを紹介したいと思います。
Annualとは?
自分のサイトではアニュアルを紹介するのが初めてなので軽く説明を。
先にも挙げたように「年刊号」という意味でして、基本的に連載で続いているお話とは関係ない読み切りを年に一度発行するものとなっております。読み切りと言いつつ他誌のアニュアルにストーリーが続くものもありますが、今回はこれ一冊で完結しています。
アンキャニーアベンジャーズはほぼ一つの大きなストーリーで20号近くを駆け抜けたのでこういった単発のお話は嬉しい限りです。
本編
モジョーワールド。そこはモジョーが提供するTVショーに支配された享楽と退廃の世界である。今日も企画会議室ではモジョー自らが新番組の企画を熱弁していた。
「お前達にはこの世界を楽しませようというモジョースピリットが足りないんじゃないの!!次の新企画はこれ!"アベンジャーズ スーパーナチュラル"なの!!」
モジョーの企画とはDr.ストレンジ、ゴーストライダー、ブレイド、マンフィビアン、マン-シング、サターナといったオカルトヒーローを洗脳し、アベンジャーズ ユニティ・スカッドへぶつけるというものでした。
アベンジャーズマンションではメンバーが束の間の休息をとっていた。
日差しの中プールで泳ぐ者、室内でビールとビリヤードに興じる者、一人部屋で瞑想する者、様々な方法で各人がくつろいでいた。
そんな落ち着いた空気の中、マンションの壁を突き破って車輪に炎を纏ったバイクが飛び込んでくる。ゴーストライダーです。
そして表のプールにはDr.ストレンジをはじめとする残りのアベンジャーズ スーパーナチュラルの面々が現れていた。
Dr.ストレンジをはじめオカルトヒーロー達の実力は高く、不意を疲れたユニティ・スカッドのメンバーはは抵抗むなしく洗脳バンドを取り付けられモジョーワールドへ送られてしまうのであった。
そして送られた先ではモジョーが新たな番組の準備を進めていた…。
モジョー劇場「アベンジャーズ高校白書」
学園ヒエラルキーの頂点に位置するのは"ジョック"たるアメフト部のスティーブとソー。そして彼らのガールフレンドである学園クイーンのワンダとジャネットをはべらせ、今日も学園内を悠々と闊歩しています。
それを睨みつけるのは学園のはぐれ者、"バッドガイズ"のアレックス、アンナ、ローガン、志郎だった。
「おい、アレックス。俺のジャネットになに色目使ってるんだ」
ソーが絡みます。
「へっ、なに言ってんだよ。色目使ってきたのはそっちだろ。なあ、ジャネット?」
「そうそう、ソーはタイプじゃないってな」
志郎が煽ります。
「なあ、俺らとDECEMBERISTでも聴かないか?それともIRON AND WINEか?」
「えー、DECEMBERISTかな」
「ジャネット!
いいか、アレックス。
お前が帰ってやることはそのタンクトップを洗濯機に放り込むことだ!
それからとっとと別のタンクトップに着替えることだな!」
ソーが凄みます。
「いーじゃないの、いーじゃないの!
アンタの脚本なかなかウケてるじゃないの!」
「やはり視聴者はイケメンが弄られる展開を望んでるものです」
モニターの向こうでは監督のモジョーが脚本のサイモンを乗せまくります。
「第三幕に必要なのは…意外な展開なのね」
放課後、ある悩みを抱えるワンダは独り図書館に向かいます。
向かった先はいわゆる”ギーク”のたまり場。
そこにはオカルト部のストレンジ、マンフィビアン、ブレイド、そして学園の”サキュバス”サターナが居ました。
学園クイーンの登場に驚く面々。
「何ということだ。我々の部室に女王の登場だ」
「ステファン君、図書館内だよ、静かにしたまえ」
「これからTRPGのセッションが始まるところなんだ。君もキャラメイクしていかないか」
「えーと、ごめんなさい。サイコロはまた今度にするわ。
ステファン、貴方に聞きたいの。ジョニー・ブレイズはどこかわかる?」
ワンダがジョニーの名前を出すとクラブの面々が色めき立ちます。
「ブレイズだって?ワンダ」
「あんな危ないヤツ」
「刺青を入れるような男ですよ」
「彼は悪魔のようなヤツ、呪われた男だ。あんな奴を追いかけてちゃ駄目だ」
一斉にあがる非難の声にうつむくワンダ。
「でも…好きなの」
図書館を飛び出したワンダの前に、ジョニー・ブレイズが現れる。
「あいつら俺の事さんざんに言ってたろ、ワンダ?
でも本当だぜ。俺の中には、悪魔が居る。
だが、君の前では悪魔も顔を出さない。優しいジョニーのままだぜ」
「ああ!ジョニー。ごめんなさい、もう黙っていられないの
私……、妊娠したみたいなの」
「え、えぇ!に、妊娠っておまえ…」
「いいわよ、いいわよ、良い脚本よ~」
モジョーが色めき立ちます。
「ですが、この先のアイディアが出なくて」
「何言ってるの!この先はハプニングが物語を動かすのね!」
苦しむジョニーの顔がだんだんと燃え上っていきます。
「俺が、妊娠させた!?
そんな馬鹿な、バカな…、俺はバカだ…、俺は悪魔だ…、悪魔になったんだ」
彼の顔が燃え盛る骸骨になり、ゴーストライダーとなって走り出します。
「復讐の精霊、ここに来たれり!」
そう言うとライダーは舞台を突き破り、監督のモジョーを吹き飛ばすとスタジオから飛び出します。
洗脳が解けて正気に戻るアベンジャーズの面々。
「どーいうことなの!役を逸脱しちゃダメでしょ!!カットよ!カットー!!」
「何を言ってるのモジョー!全部あなたのせいじゃないの」
正気に戻ったワンダはモジョーに一撃を食らわせます。
「ゴーストライターの件は自業自得だな。我々はこれで失礼するよ」
「ちょ!ちょっと待ってよアナタ!」
この先の事は放っておいて帰ろうとするDr.ストレンジをモジョーが引き止めます。
「この世界には異世界から連れてきた何の罪もないドレイ達もたくさん居るのね~。
ワタシも反省するから、そこを何とか!」
外に出たゴーストライダーは怠惰と享楽の積み重ねで作り上げられた街を見下ろし、この世界全てが復讐されるに値すると判断して炎を強く燃え上がらせます。
渋々ながらもオカルトの力に対抗するにはオカルトが必要であると、Dr.ストレンジはスーパーナチュラル/ユニディ・スカッドの両アベンジャーズを率いてゴーストライダーを止めんとします。
しかし、罪にまみれた世界の中で力を増したゴーストライダーはソーの一撃もサターナの魔力も跳ね返し、逆に身体を巨大化させていきます。
同じく巨大化したマン・シングがライダーの全身を束縛し押さえつけますが、それすらも時間稼ぎにしかなりません。
元の大きさに戻ったライダーの前にスカーレット・ウィッチが対峙します。
飛びかかってくるゴーストライダー。
だがそこに潜んでいたローグが飛びかかり、彼の力を吸収します。
「復讐も良いけど少しはリラックスしなよ、ジョニー!
大丈夫、すぐ終わる…すぐ……がぁぁぁぁ!」
吸収されたジョニーは正気を取り戻したものの、今度はローグがゴーストライダーの力、悪魔ザラトスに飲み込まれます。
「だ、ダメ。これは戻さないと…
『乱れた世を粛清せよ!我を受け入れろ!!』」
これまで自分を苦しめてきたザラトスが出ていった開放感も束の間、ジョニーは苦しむローグを見過ごせませんでした。
「俺は今、永遠の束縛から解放された…。でもこの呪いは俺の宿命なんだよな」
ジョニーは再度ゴーストライダーの力を吸収し、元に戻ります。
こうしてモジョーワールドは救われ、アベンジャーズも帰路に着くのであった。
アベンジャーズマンションに戻った面々。晴れやかな庭の真ん中でジョニー・ブレイズは一人浮かない顔でした。
「ザラトスの呪いはまた戻ってきてしまった。
これからも悲しみの夜を独り行かなくてはいけないのか……」
「なに浮かない顔してるのよ!」
そう言うとワスプはジョニーをプールに突き落とす。
それを追ってユニティ・スカッドのメンバーもプールに飛び込むのであった。
UncannyAvengersはレッドスカルのオンスロート化とアポカリプス・ツインズとの戦いの二つを軸に25話走り切ったお話なので、こういった日常/単発事件エピソードは嬉しいところ。
内容は随所に真面目な見どころもあるものの、基本的にはモジョーが出てきて大騒動のお話。本当にやりたかったのはアベンジャーズメンバーを使っての学園ものに違いありません。イケメン役のソーやどうみても中年のウルヴァリン&サンファイアも面白いところですが、なんと言っても見逃せないのは図書館のギーク達。なぜ半魚人のマンフィビアンに眼鏡をかけたw。それ以上に笑ったのはこっちのDr.ストレンジ。
おまえのような高校生がいるか~。
アンキャニーアベンジャーズ アニュアルもオムニバスに収録されています。
- 作者: Rick Remender,Gerry Duggan,John Cassaday,Olivier Coipel,Daniel Acuna,Adam Kubert,Salvador Larroca,Steve McNiven
- 出版社/メーカー: Marvel
- 発売日: 2015/02/17
- メディア: ハードカバー
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