X-FACTOR TPB vol.17: The Road To Redemption
X-FACTOR TPB第17巻の紹介です。#237~240まで収録。
この巻ではレーン(ウルフスベーン)、テレサ(バンシー)、レイラ達女性陣が活躍します。
#237 "Road to Redemption"
任務のときは気丈に振舞うも、普段は元気も無く部屋に引きこもるレーン。狼の子として生まれ、すぐに居なくなってしまった息子のことで消沈しているようだ。心配したテレサとローナ(ポラリス)は彼女を元気付けるためにレーンをドライブに誘い出す。
真っ赤なオープンカーで走り出す女三人。途中、倒木で道がふさがれていてもテレサのソニックストリームで吹き飛ばすし、それを見た警官隊が警戒して銃を向けてきてもローナのマグネティックパワーで車ごと空を飛んで逃げたり、いささかやり過ぎなくらい爽快に旅を続けます。
しかしそんな中でもレーンは沈み気味。同行しなかったレイラとモネのことを思い出します。
「ごめんなさい、私車酔いしやすいのよ。私のことは気にせず皆で行ってきて」
「なんで私が7時間も同じ車の中でレーンの愚痴を聞いてやらなくてはいけなくって?」
再び苛立つレーン。そんな彼女をローナがなだめます。
たどり着いたのはマドロックスの分身の一人であるジョン神父が居る教会。ここですべてを打ち明けてすっきりするよう言うとローナとテレサは出かけていってしまう。
敬虔なクリスチャンでもあるレーンはジョン神父に懺悔します。自分の息子を受け入れられず突き放してしまったこと、そしてそれは自分の父がミュータントである彼女自身に向けた態度と同じであること。そして何より彼女がその父親を食い殺してしまったことを告白します。
涙ぐむレーンに、ジョンは一度は鞭を与えて自身を戒めるよう厳しく言うが、本当に大事なことは赦し赦されることであると彼女に伝えると、やさしくレーンを包み込むのであった。
心の拠り所を得たレーンは思いを改め、息子を探すことを心に決めるのであった。
なにかとポイントポイントで出てくる分身の一人ジョン神父。そういえばテレサも父の死を受け入れられないことを彼に相談し克服しているエピソードもありました。
それと細かいところでテレサとローナがこの旅を通じて仲を深めてるところも良い感じ。たしかこの二人って同じチームにいた事も無いはずだが、この面倒見の良いところを通じて意気投合してたというところでしょうか。
#238
NYで男性が「声」によって殺される。この件についてウルヴァリンから依頼されたアレックス(ハボック)はテレサを連れて調査に乗り出す。
一方で前回の自警団事件以来、意識を取り戻さなかったロングショットだがシャッタースターが何かをしたことであっさり目を覚ます。この際シャッタースターは戦った相手の名前をマドロックスに聞かれるが「聞いていない」ととぼけている。
そのマドロックスは自警団の一人ファーサイトの自殺に疑問を持つもアレックスから「それ以上は警察の管轄だ」と一蹴。いまだにチームの指揮権を取り戻しきれないでいた。
息子を探しにチームを離れるレーンはリクターとシャッタースターから見送りを受ける。気遣う二人に少し戸惑うレーンだがリクターとスターの
「俺はいわゆる擬似父親だったからな」
「なら俺は擬似伯父さんみたいなもんだしね」
という言葉に励まされて、晴れ晴れとした表情で旅立つ。
(読み飛ばしが有ったので修正)
というに励まされる。「これは私自信の問題だから」と言うレーンだったが、静止も聞かずスターはポータルを開き三人は旅立っていってしまった。
ラストシーン。灯台を隠れ家に今回の殺人事件の黒幕である女神モリガンが手下に悪魔ジゼベルを伴い、自分と同じ名を語るバンシー(テレサ)を待ち構えていた。
お話のつなぎ的な短いエピソードの積み重ね回。ロングショットの回復とシャッタースターのとぼけの件は、同じモジョーバースの出身であることや、LONGSHOT・SCATTERSHOTという名前の類似から一ネタ仕込んでいる感じはあるものの、後に生かされているような気配は無い。
たった二ページだがレーンの見送りの三人は良いシーン。リクターとスターの情事の場面にレーンが鉢合わせるトラブルから数年、ちゃんと和解したところが見られるのはファンとして嬉しいところ。
#239
被害者の親族の家に着いたアレックスとテレサ。玄関に飾られた祖母と娘アラナの写真を見てピンときたテレサは一人でアラナと対面する。
二つの写真ともに古代魔法のシンボルがあることに気付いたテレサは、能力の催眠ボイスも使いつつアラナから真実を聞き出す。彼女は家庭内のトラブルから魔法陣で女神モリガンを呼び出し解決しようとしたらしい。それこそが今回の「声」の殺人事件の真相だった。
再び儀式でモリガンを呼び出したものの、自由になった彼女はテレサを連れてどこかへと消え去ってしまう。テレサのGPSを頼りに追跡するアレックス。
隠れ家の灯台でモリガンににじり寄られるテレサ。どうやら女神モリガンとしてたかが人間風情が自分の別名バンシーを名乗っていることが許せないらしい。テレサのソニックストリームも全く通用せず、逆にモリガンの声に意識を失い灯台から投げ落とされる。
その危機を救ったのは手下であるジゼベルだった。「悪女」の名を持つ悪魔らしく主人を裏切り、モリガンの弱点は使い魔のカラスであることを伝えるとテレサを解放する。
テレサのソニックストリームがカラスを射貫き、弱ったところを駆けつけたアレックスのブラストでモリガンを退治することに成功した。
ジゼベルは裏切りの理由を「複数の主人に仕えるも、モリガンが不要になっただけ」と言い放つと
「もうすぐ神世と現世が混沌とするアポカリプスが起こる。その前にテレサ、お前は重要な決断を迫られることになるだろう」
と謎の言葉を残して飛び去って行くのであった。
ジゼベルはこの後に控えてるX-FACTOR最大のイベント「HELL AND EARTH WAR」に備えて色々と画策している様子。今回のモリガンの件も、その一環と見て取れます。
今回のサブシナリオでは、グイドが高級リムジンを借りてモネをデートに誘いだすことに成功。二人の仲は進展するのか…というのが次のお話となっております。
#240 "Run Layla Run"
”私は何でも知ってるの” 私の得意技。
でもこれだって万能ではない。わかったところで起きることは止めようが無い。
自由意思なんて冗談じゃない、運命って言葉に怒りさえこみあげてくる。
これで人生私の物!最初はそう思ってた。でも世の中には他人の存在ってものがあるの。
小さい頃はすべてがはっきり見えてた。バカバカしい。今では何も見えないも同然。
でもそれが普通。子供の目線はいつだってシンプルだもの。
大人になって自分の能力を知るってことは不幸なこと。子供のころの自分が悲しんでるわ。
これは私が本屋でジェイミー(マドロックス)への贈り物を買いに行こうと思った時のこと。
本屋へはタクシーなら5分、歩きで20分。自殺しようしてる少女を助けるまでに必要な時間はあと23分。
てなモノローグから始まるレイラ主人公の単発イシュー。映画「ラン・ローラ・ラン」のオマージュで、少女の飛び降り自殺を予知したレイラがNYの街を駆け回ります。途中、当のローラらしき女性もちらっと登場。
映画では「失敗・惜しいところで失敗・成功」の三パターンを順に流す方式でしたが、こちらではある瞬間の選択でどのような結果になるかが予知として描かれる形式をとっています。
チンピラに絡まれてるホームレスを助ける?助けない?この場合結果は同じ。
お話の本筋はすんでのところで少女の飛び降りを助けることに成功。その後、この少女が成長し医学の道に進むことでレイラの夫となったマドロックスの手術が成功し一命をとりとめる、という予知が描かれるオチとなっている。
大事なのはこの本筋よりもサブプロット。モネをディナーに誘い出したグイドだったが、ベヒモスが変電所を襲う場面に遭遇し戦闘になってしまう。これが元で口論となりグイドはモネを置いて立ち去ってしまう。ここでモネが彼を呼び止めれば仲直り、呼び止めないと二人の確執は決定的なものとなってしまうが……。
次の18巻は「Breaking Points」X-FACTOR探偵社全体に大きな転換点が訪れます。この巻でも触れられたレーンの旅の行方は?グイドとモネの運命は?テレサの決断とは?