X-FACTOR TPB vol.15: They Keep Killing Madrox(2)
X-FACTOR単行本 15巻紹介の後半です。
マドロックスの異世界放浪編は平行世界改変ネタが乱立して書くことが多くなってしまいます。はたして旅の終わりはあるのか!?
#231 "They Keep Killing Madrox (Part3)"
巨大アイアンマンに捕らえられ観念したマドロックスだったが、なにやら様子がおかしいことに気付く。
「おい、こいつを調べてみたんだがデータに不整合な点があるぞ」
「不整合?こっちには通常の旧型ミュータントと検知されているぞ」
「もっとよく見てみろ、こいつはこの世界とは別の次元が感知されてる。こいつは、まるで多次元空間の特異点みたいなもんだ」
そのままトニー・スタークのところまで連行されるマドロックス。
トニー・スターク曰く、この世界はスカーレット・ウィッチが「NO MORE HUMAN」と唱えた世界らしく、人間が10%まで激減してしまっていた。そんな世界の中で人類を率いて超人類と戦い続けていたトニーだったが、絶望的な戦いに倦んでおり酒浸りの生活も続いていた。
はじめは高圧的な態度を取っていたが、マドロックスこそが他の世界へ逃亡する鍵と見抜いたトニーは彼に協力を要請する。
しかしその刹那、この世界での「NO MORE HUMAN」の体現者であるデスロックことスティーブ・ロジャースが闖入してくる。瞬時にアイアンマンに変身して応戦するトニー。
キャップ・デスロックを導いてきたダミアン・トリップはマドロックスに対し「助けに来た」と言い放つ。
「助けに来ただって?あんたは俺のジミー・クリケットだってのかい」
「何のことを言っておる?いいか、マドロックスよく聞け。再び次元の分裂が始まっている。
何者かの力によってお前はその先触れを見せられているのだ」
「何者か、だって。全部あんたの仕業じゃないのか」
「私ではない。それが何者かはわからん。
だがレイラ、レイラ・ミラーが必ずお前を救い上げる」
そこまで聞いたところでマドロックスはアイアンマンとキャップの戦いに巻き込まれ空中に放り出される。
絶体絶命と思われたが、窓ガラスを割った際に生まれたの分身は飛行能力を持っており難を逃れる。
「この世界のあんたの分身は飛行能力を持ってる、ってあたりまえじゃないか。
ついでに言うと分身は二十秒しかもたなくて、残りあと五…」
と言うと消えてしまう。結局墜落するマドロックス。
またも目が覚めると別の世界。傍らにはローブを纏った自身の死体が転がっており、目の前のDr.ストレンジが振り向くとその顔は燃え盛るドーマムゥのそれだった。
ダミアン・トリップが思わせぶりなことを言っていますがこれはすぐには解決されない話なので置いときましょう。やはりこの回の見どころは酒浸り社長VSデスロック化したキャプテン・アメリカ。ここまで悪堕ちしたキャップは珍しいかもしれません。アイアンマンも一昔前を思わせる三角リアクターとマッシブな体型。
#232 "They Keep Killing Madrox (Conclusion)"
「師匠のローブに隠れて難を逃れたようだな」
ドーマムゥがマドロックスに迫る。表に飛び出すとそこは魔物が跋扈する魔界のようになったNYだった。
「どこへ行くのだ。今日はストレンジを倒して私が世界最高の魔術師になった日だというのに」
迫りくるドーマムゥに魔法で対抗するマドロックス。しかしそれも敵わず捕えられてしまう。
またもや絶体絶命!だったが身体から湧き上がる力によりドーマムゥを押し返し、分身との一斉攻撃で逆転する。
するとマドロックスの身体の中から霊体となったDr.ストレンジが現れる。
「君の身体を借りてなんとかこの状況を打破することができた。
お礼というわけではないが、君をもとの世界に送り返そう。
君はこれまでの旅を逆順に辿り、帰ることができる。
そしてその中で君の能力についての出自を知ることができるだろう」
「また俺は死にまくるのか?」
「それはわからん」
そういって魔法のポータルを開くストレンジ。
「ドク!このデロリアンで88年に戻れっていうのか?」
マドロックスがポータルを通ろうとすると、誤ってドーマムゥを倒した水晶の欠片が飛んできて彼の額を直撃してしまう。「いかん、これでは…」ストレンジの試みは失敗し、マドロックスはポータルに吸い込まれていった。
次に目を覚ますとそこは探偵社の地下室。マドロックスはレイラに手を引かれて目を覚ます。なんとか元の世界に戻ってくることができたのだ。
しかし奇跡の生還には思いもよらぬ副産物がついてきた。ロスの映画スタジオではバノラ、デスロック・キャップ、ソーサラー・スプリーム・ドーマムゥら異世界の悪人もがこの世界に飛ばされてきたのだった。
というわけで、艱難辛苦を乗り越え生還することに成功しました。帰還してそのまま結ばれるマドロックスとレイラでしたが、過去に言ってた「貴方との初夜は結婚するまで取っておくの」という言葉は守られませんでしたね。
そしてトリップやらストレンジやらが口にしていた「マドロックスの能力の秘密」ですが、そういったものがある(かも)という再確認しただけで、なにも明らかになることはありませんでした。これが明らかになるのは…なるのでしょうか?
この巻のイラストはエマニュエラ・ルパシノ(画)とジラーノ・オルテガ(色)のコンビ。以降もペンシラーは変わってもこのカチッとした画風で描かれていきます。表紙は変わらずデビッド・ヤーディン。ちょっと独自色はいったウルヴァリンのコスチュームが恰好良いのです。